再婚禁止期間短縮の背景とその意味合い

再婚禁止期間ってどんなこと?!

再婚禁止期間短縮1

みなさんは再婚禁止期間という言葉を聞いたことがありますでしょうか?
言葉通り、離婚後から再婚できるようになるまでの期間のことで、旧来の民法では男性にその禁止期間が設けられていないのに対して、女性は6か月間という禁止期間が設けられておりました。男女平等という観点からも、現状の憲法でこれだけ如実に差があるのも相当に違和感を覚える部分ではありますが、ご察しのとおり、この男女差においては女性ならではの懐胎という問題が大きく関わってくるからです。長らく最高裁においてもこの差を合憲として判断してきましたが、平成28年6月1日にこの再婚禁止期間が100日に短縮するという民法改正案が成立、施行日である平成28年6月7日より実施されております。

旧来の再婚禁止期間6か月間と定めた民法においては、明治31年に作られた法であり、実に118年もの間、適用されてきたということになりますが、今回の改正により諸条件こそあるものの、実質的に3か月強と半分程度に短縮されたことは、革新的な改正だったと評価できます。もちろんこの改正後においても男性には関係がありませんので、完全に男女平等の素地が整ったとは言えませんが、父親推定の混乱を防ぐ意味合いで設けられた再婚禁止期間が、現代社会の実情に照らし合わせ、再婚の障壁となる制約をできる限り少なくできた点は前向きに捉えるべきだと思われます。


再婚禁止期間が作られた背景は?

再婚禁止期間短縮2

この民法が施行されたのは1898年(明治31年)のことです。民法第733条には「女は、前婚の解消又は取消しの日から六箇月を経過した後でなければ、再婚をすることができない。」とありました。これは民法第772条にある「妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する。2 婚姻の成立の日から二百日を経過した後又は婚姻の解消若しくは取消しの日から三百日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する。」というものがあることに起因します。シンプルに表現すると、「結婚してから200日後に生まれた子は夫婦の子である。また、離婚後300日以内に生まれた子も前の夫の子であることが推定される」ということです。この時代には医療技術の発達が乏しく、妊娠したかどうかはその外見からしか判断できませんでした。したがって外見による判断材料の1つとして半年(6ヶ月)という期間が必要だったことも、この民法が作られた理由の1つなのです。

妊娠初期は自身の妊娠に気づきにくく、妊娠が婚姻関係が破綻する前か後かを立証するのは非常に困難であることから、生まれてくる子どもの利益を一番に考えたものとなっていました。これを「嫡出推定」といい、法律上の夫婦間に生まれてきた子どものことを指します。これは上記の民法第772条によるものですが、このことに意義を唱える人がいなければ離婚した夫婦の間の子どもであると認められるのです。これが「(嫡出)推定」と言われる理由です。

もしも再婚禁止期間がなく、離婚後にすぐ再婚したと考えてみましょう。200日後に生まれた子は妊娠期間を考えると前の夫の子である可能性が高いです。しかし、離婚後300日以内を同じように考えた場合、前の夫の場合もあるし、現在の夫の可能性もあるということになり重複する期間ができてしまいます。このような重複する期間ができないようにするために再婚禁止期間が民法で定められていたのです。(不正推定の重複といいます。)


再婚禁止期間の短縮がなされた理由や背景

上述のとおり、以前は6ヶ月だった再婚禁止期間が100日に短縮されたことは、女性における再婚にとってプラスに働く部分かもしれません。冒頭でお伝えしたように、女性だけが半年もの間、成婚できないとする旧来の民法が「法の下の平等」を定めた憲法14条に反しているのは明らかである一方、「父は誰か」という問題は子供の利益を考える以上、再婚禁止期間の重要性は無視できません。ところが、旧来の民放で上記規定に当てはめると

【例1:仮に2017年1月1日に離婚した夫婦の場合】

1、同年6月30日までが元妻の再婚禁止期間(6か月:180日)
2、同年7月1日に再婚し、翌年1月16日以降(200日後)に出生した子供は現夫の子
3、同年10月27日(300日)前までに出生した子供は前夫の子供

という規定でしたので、

4、同年10月28日以降、翌年1月16日以前に出生した子供はどうなるの?
 (離婚後300日以上、再婚後200日未満)

という問題が生じていました。

つまり

A、再婚後200日以降に生まれた子供は再婚相手との子と推定(上記2番)
B、離婚後300日以内に出生した子供は前夫の子供と推定(上記3番)

という規定に当てはめると、現夫の子供とするなら再婚禁止期間180日+200日(380日)が必要となり、離婚後300日までは前夫の子供となるため、再婚後200日以降から離婚後300日までに出生した子供に対して、前夫の子供でも現夫の子供でもない(どちらかが推定できない)という、法的にも辻褄が合わない状況が生まれていました。この空白期間を解消させたのが今回の改定の一番大きな理由と言えます。

また、再婚禁止期間が定められた明治時代と違い、現代では医療や科学の発展によってDNA鑑定を行うなどして確実な父子関係を確認することができるようになりました。したがって父親の推定が重複することを避けるためには100日間もあれば十分、100日を超える期間に関しては合理性が認められないという最高裁の判断も改定の要因のひとつだったと言えます。ひと昔前とは異なり、離婚や再婚が増加している現代社会の状況を考慮して、再婚する際の制約を少しでも減らすということもあったようです。


再婚禁止期間の短縮による懸念される弊害や問題点

今回の改定においては、再婚禁止期間を100日に短縮するほか、女性が離婚時に妊娠していないこと、離婚後の妊娠であることに対する医師の証明書があれば、100日経過前でも再婚を認めるとされております。しかしながら、100日間を再婚禁止期間としても問題が起こることもあるようです。たとえば婚姻が破綻して別居しても正式な離婚が進まず、手続きが後倒しにずれてしまった場合、その期間に別の男性との子どもが生まれたとしても、正式離婚から300日経てなければ「前夫の子」とされてしまうのです。

今回の改定は、あくまでも再婚禁止期間の短縮であり、出生してくる子供に対する300日問題(上述の例1の3)に対する緩和ではありません。現在、離婚問題における子供の妊娠でお悩みになられている方の多くは、離婚成立前の別の男性との妊娠であり、再婚禁止期間の短縮とは別の問題です。俗にいう300日問題については、離婚後300日出産問題についてでも詳しく取り上げておりますが、必ずしも解決できない問題ではありません。今回の民法改定は、革新的と評価する人もいれば意味がないと酷評する人もいますが、多くの方が問題を抱える300日出産問題については、まだまだ課題が残されているのかもしれません。


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